滝をみるきっかけは朝日新聞の書評に掲載された、車谷長吉『赤目四十八滝心中未遂』を読んだのがきっかけである。
滝そのものより尼崎が舞台と言うのが気になった。
京都にいた頃もそうだが、他のどの地域よりも、危険・怖いではなく、いかがわしいでもなく、何と表現すべきかわからないが、近寄りがたい土地が尼崎というイメージだ(明確な理由はない)。
この尼崎からわざわざ三重まで電車を使って心中すんの?という方が強かった。
しかし読み終えて「滝か~」って、なんとなく思った。
それでもすぐには行動には移せず、息子の学費もようやくゴールが見えてきて、滝巡りをスタート。
北中康文『日本の滝』(東日本編661・西日本編767滝が紹介)をネットで買ったが、ああこんな滝があるのかと驚きの連続。
スゲーと思う滝は、案の定経験者・健脚者向きとか、単独は控えガイド必要と書かれている。
とても自分では行けない滝と諦めていた。
一方ネットで検索すると多くの人が HP・ブログで北中さんの本には掲載されていない滝が、どんどん出てくる。
そんな中、意を決して行ったのが、長野の前川本谷大滝である。
川に沿って行けば迷いようがないと書かれているが、川沿いだと熊避け鈴の音がかき消されるので、熊に注意とも書かれている。
でもこの滝は見てみたいよなで行って、目にすることができたことが、いろんな滝にチャレンジだけはしてみようという気にさせてくれた。
滝の解説や道具の使い方は、私がいちいち書くことではないので割愛するが、行って困ったことは数えきれない。
まず多くの HP・ブログに掲載されてから5~6年経過しているものが多く、目印にすべきものが見つからない。
あるいはその後行政が整備したのかどうかわからないが、目印にしたものが、近くにいくつかあってどれが目印にしたものかわからない。
あるいは雪解け時期にあった橋が流されて橋がない。
標識も曲者。二股で尖っている方へ向かうと、向きが変わってしまっていると思えるものもいくつかあった。
とにかく自然のものであるので、紹介された時期と私が行った時期とでは当然違うので、当たり前とといえば当たり前なのだが。
GPS は無料の講習会に行ったが、数万も出して買っても使いこなせるのかと思いやめた。
そして大きな転機というと大げさだが2013年11月20日竹ノ塚地域学習センターで、しゃけさんという人が中心になって、滝のセミナー開催された。
私の場合、永瀬嘉平さんには興味がないといっては失礼だが、先に北中さんの写真集を見てしまっていたので、参加すべきか躊躇。
ましてや「日本の滝100選」には興味がない。
2011年3月の東日本の大震災で見ることができない滝(特にお手軽滝の奈良の「笹の滝」)があったし、その後も大きな災害も各地で起きて、制限されているところも多く、100選は、はなから諦めていた。
その永瀬さんから、「どうしてあの(あんな)滝が日本の滝100選に選ばれたのか聞いてみよう」という趣旨のようだ。
ただ永瀬さんはともかく、これがきっかけで経験・技術のある人と知り合えたら、どこか連れて行ってもらえる?と思い参加することに。
セミナーの後、残れる人で近くの居酒屋で打ち上げ。
どこが良かった、どこが凄いとか、初心者の私にとっては全くと言っていいほど、話に加われなかったのが正直なところである。
その後しばらくして、しゃけさんから山形の「赤滝・黒滝」に森本さんが案内してくれますけど参加します?とお誘いが来た。
赤滝・黒滝がどうよりも、TV チャンピオン「滝通選手権」優勝者の森本さんの案内で滝に行けるのか、どんななんだろうと思い、即決で参加した。
こんな風に滝に行くのか・・・、とても真似できないと強く思ったが、参考になるものはたくさんあった。
その後、不帰の滝にも行き、大阪のえださん夫妻からのお誘いで桶側の滝や静岡の七重滝にも同行させていただくことに。
朱滝はこの滝が見ることができたら、滝から足を洗っても?
でもどうせ行く機会なんて絶対ない・・・
赤滝・黒滝にも参加された同じ年の三浦さんに「どこか行きたい滝あります?」と聞かれ、絶対無理・行けるはずがないが、冗談半分で朱滝と答えたら、「1年前から考えてるんですよ」「9月に例大祭の道が切り開かれるので、沢ルートではなく山ルートで、しかも日帰り可能」とのお言葉が・・・
ここではじめて TV チャンピオン「滝通選手権」準優勝者の林さんと出会うことができた。
新座にお住いのようで、この人と親しくなれればと、永瀬さんのセミナーからずーっと思っていた人だ。
しかし朱滝は、まったくもって私の技量では、かなわない滝でご迷惑をおかけしてしまった。
興味のなかった「日本の滝100選」は、難関と言われる松見・茶釜・双門・七つ釜・早戸を終えたとき、えださんから「行った滝はデータベース」しておいた方が良いのでは?」と言われ、改めて振り返ってみると、九州・沖縄・北海道、そして壇鏡など金はかかるが、観光滝が残っているだけになっていた。
これなら行くべきかと思い直した(ただし遠望で済ませている滝も多いのだが)。
松見は何もない林道を2時間歩くので退屈。
茶釜は、沢ルートは危険なので、山ルートもそれなりに長くて辛かったが、行けてしまった(ツアーですが)。
双門も人によっては最難関・命の保証が、と言われているが、危険なところはほぼ垂直の梯子登りがあるからとのことだが、私にとっては人工物なので道に迷っていると考えずに済むので精神的には楽な行程。
七つ釜は、いろんな滝が見ることができ、桃の木小屋で1泊なので、ここも身体はしんどいが精神的には楽な行程。
早戸、私にとってはここが一番難しいと思っていた。
庵座の滝で、すっかり蛭には慣れたが、蛭の巣窟とのことなので12月に行ったので、人がいるのか?しかし心配になりそうな地点で釣り師だったり、その後も早戸帰りの人に出会い、進むべき方向が正しいか確認できたのでラッキーだった。
改めてではあるが、滝は自然のものである。
誰かが良い滝と言っても、見る価値が無いと言っても、自分が行く日は天候含めて条件がまったく違う。
また最初は、ひたすら早く滝に辿り着いて、写真撮って、車に戻ることばかり考えていたが、道中の楽しみ、また滝にご対面しても滝を取り囲む周りの風景にも楽しみが見いだせるようになって、滝の楽しみ方は大きく変化した。
青空で虹がかかって、水量もあって、などなど最初のころに思っていたことは、まったくとまでは言わないが、それに拘ることがなくなってからは、その時その時の滝で良いと思えるようになったことも、続けられた要因であろう。
印象に残り、何度でも訪れてみたい滝
秋田 安の滝
山形 滑川大滝・浄の滝・火焔滝
福島 幕滝
群馬 常布の滝・嫗仙の滝・不動大滝
長野 醤油樽の滝(2018年5月 そうとう荒れて行くのは難しいとのこと)
静岡 宇嶺の滝
奈良 桶側の滝
三重 庵座の滝
兵庫 天滝・しわがらの滝
大分 西椎屋の滝
宮崎 祇園滝
それでも長野・前川本谷大滝 これがベストか。